4−5 当時弱冠にも満たなかっただろう司馬懿は泰然自若として曹操に対峙した。 『南進し劉備勢力と戦おうとした曹操と、劉備勢力と不仲かつ北進を目論む司馬懿。今、司馬懿を攻めるならば、兵が手薄になった隙を突いて劉備勢力が許昌に攻め込むであろう。 或いは司馬懿を下したとして、洛陽もまた許昌と同じく四方を敵に囲まれているのだ。洛陽と許昌に兵を分散した機を狙い、各個撃破されるのは明白だ。 それらの危険を犯すより、同盟を築き、共に背後を安んじよう』 と。君主自らどういうつもりだと、どよめく周囲の文武百官や射るような視線を向ける曹操を余所に、司馬懿は持ち掛けてきたのである。 劣勢にも関わらず交渉金として大金を積むでもない傲慢さ。処断される危険すら冒す無謀さ。 若輩が、と思わなかった者は果たして何人いただろう。しかし、司馬懿の話は確かに正論であった。 洛陽を始め陳留、宛、汝南、新野の五都市に囲まれた許昌では、洛陽に兵力も物資も割けばその分、守りが手薄になる。 既に三都市を支配下に置く劉備軍を始めとした諸勢力はこの好機を逃すまい。 そして何より、司馬懿が和議を蹴られた場合にどう動くのかが皆の頭を過(よぎ)っただろう。司馬懿ほどの智謀を持つ者が失敗したときのことを考慮していない筈がないのだから。 結局、司馬懿の目論見通り対等な同盟関係を築くことになった。 - - - - - - - - - - - - - - 2013/02/03 ikuri 十代仲達君主とか夢見てますけど、ゲームの英雄ストーリー仲達の顔グラはイケメンじっちゃまなんだとか、そんなのは気にしちゃいけない。 戻 |