花魄の王・2 「良い子だ。…叔達、花に合う花挿しを子桓と見立ててやってくれ」 「畏まりました、仲達兄上。…トウ将軍、兄上を」 「はっ」 肯いの後、淀みなく司馬孚様が命じた。 殿が護衛ではなく身内を側に召していたのは、先程までの時間が私的な物であったからだろう。 もしかしたら、政務の合間に僅かな寛ぎを得ていたのかも知れない。 忙しい彼にはきっと貴重な時間だ。護衛として彼の側に召される喜びはあるが、護衛などが側にいては普段と変わらないだろうに、と思うと、申し訳なさが心に残る。 「…さあ、子桓、あまり握ると折角のお花がすぐ枯れてしまいますよ。花入れに生けてあげましょうか」 「うん!」 司馬孚様が室へと促すと、素直に頷いた少年が室に走り出す。主はその背を見守るように目を細めて見送っていた。 「…士載は、なかなか洒落た事をするのだな。あの花束は一体どうしたのだ?」 「は、野駆けで、偶々見かけましたので摘んで参りました」 朝、起き抜けに馬を走らせた。初夏の野は草木が瑞々しく青々と生い茂り、気に満ち溢れていた。朝露に濡れた花びらは鮮やかに宝玉の如く煌めいていた。 美しいと思った瞬間に、浮かんだのは主が大切にしている少年の事だった。 - - - - - - - - - - - - - - 2013/03/11 ikuri 身長2m近く(身長体格は無双イメージ)のmkmkがお花畑で花を摘んでてもトウ艾さんなら許されると思うわけで…!(え) 戻 |